消費税が戻ってくる?


ballgreen.gif (239 バイト)当然といえば当然です
 
 事業者が納付する消費税は、基本的に、以下のような計算式で求められます。(※1)
 
   預かった消費税 − 支払った消費税 = 納付する消費税(※2)

 ということは・・・預かった消費税の方が少ない場合、つまり上記算式により計算した結果がマイナスとなってしまった場合、どうなるのでしょう??
 これは、もちろん還付されることになるのです。ま、当然といえば当然ですよね。

(※1)
 免税事業者、簡易課税選択事業者は除きます。
 実際には、この算式で求められるのは正確な納税額にはならない場合があります。
 端数処理の関係上、若干の誤差が生じることがあります。
(※2)
 「支払った消費税」は、正しくは「控除対象仕入税額」といい、厳密には「支払う」ということと意味合いが若干違います。しかし、ここでは話をわかりやすくするため、「支払った消費税」という表現を使うこととしています。


ballorange.gif (239 バイト)還付されない場合

 上記のように、預かった消費税より支払った消費税の方が多いような場合、その差額分が還付されるわけですが、場合によっては還付されないということもありますので、注意したいところです。
 どのような場合に還付されないか?ですが、以下の場合があります。

1.簡易課税を選択している場合

 簡易課税というのは、別に詳細を説明する予定ですが、課税売上高を基準にして納付税額を算定するという方法です。つまり、預かった消費税に対して、支払った消費税はいくらであったか?を簡便的に計算するという方法です。(預かった消費税の5割〜9割とする)
 この方法を採用している場合、もちろん支払った消費税は簡便計算で算定されてしまいますので、支払った消費税が預かった消費税を上回ることは有り得ません。つまり、還付を受けることはできないということです。

例) 小売業を営む事業者の場合
 
      預かった消費税額:300万円 
      実際に支払った消費税額:350万円  である場合。

      簡易課税を選択していない場合: 300−350=△50万円(還付)
      簡易課税を選択している場合  : 300−300×80%=60万円(納付)

 この例では、110万円の損が出てしまうということになりますね。
 
2.免税事業者である場合
 
 免税事業者というのは、消費税を納める義務が無い事業者のことです。納める義務が無いということは、還付する権利も有しないということですね。そりゃそうですね。
 支払った消費税額の方が多い場合には、やはり損になります。


ballred.gif (1956 バイト)気を付けておきたいこと

 上記のように、せっかく還付を受けることができるはずなのに、条件が悪くて還付を受けられない・・・というのは、あまりにももったいない。では、どうすれば良いのでしょう?
 基本的に、支払った消費税額の方が多くなってしまうなんてことは、そうそうある話ではないんです。大きな設備投資をするとか、大赤字になったとか。そういう場合にしか有り得ません。
 大赤字についてはともかく、設備投資については、1年以上も前から計画するのでしょうから、あらかじめ支払う消費税額が多額になるかどうかは、想像できるはずです。
 その判断さえできてしまえば、あとは簡単です。

1.簡易課税の選択を取りやめる

 もともと簡易課税制度というのは、売上高が一定規模以下(2億円以下)の事業者に対して特別に認められた制度なのです。認められた・・・ということは、その制度を利用しなくても良いわけです。
 簡易課税の選択を取りやめたい場合、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を所轄の税務署長に提出すると良いのです。ただし、これには注意点がありまして・・・
 まず、簡易課税の選択を取りやめたいとする課税期間の開始日の前日(つまり前課税期間の終了の日)までに、提出しなくてはいけません。また、簡易課税制度は一度選択すると2年間は継続適用しなくてはいけませんので、今年から簡易課税を選択した・・・という場合、来年も簡易課税となってしまいます。つまりこういうことです。

・前々期:本則課税(簡易課税を選択していないことを言います)
・前  期:簡易課税(前々期中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しなければいけません)
・今  期:簡易課税(簡易課税は一度選択すると2年間継続適用しなければなりません)
・翌  期:本則課税(今期中に「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」の提出が条件です)
・翌々期:簡易課税(簡易課税の選択不適用については2年間継続不適用の条件などはありません。よって、翌期中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すると、翌々期は簡易課税となります)

2.免税事業者とはならない(課税事業者になる)

 免税事業者とは、基準期間の課税売上高が3000万円以下のいわゆる小規模事業者に該当する場合、納税義務が免除されるという特例を受けた事業者をいいます。
 簡易課税の場合と異なるのは、届出書を提出したから免税事業者となる・・・のではなくて、基準期間の課税売上高が3000万円以下であれば、自動的に免税事業者になるということなのです。ということで、逆に課税事業者となることを届け出れば良いということです。
 もし、翌課税期間に設備投資の予定がある場合で、翌課税期間が免税となる(つまり、前課税期間の課税売上高が3000万円以下である)場合は、当課税期間中に「消費税課税事業者選択届出書」を提出しておけば良いのです。
 これで、翌課税期間は課税事業者となりますので、晴れて還付を受けることができます。ただし、注意点が1つ。
 課税事業者になることを選択した場合、2年間は課税事業者であることを継続しなくてはいけません。つまり2年間は免税に戻れないということです。ですから、2年間の消費税の納税額の予想を立てて、それでも得だという場合に、課税事業者の選択を行うべきでしょう。


ballgreen.gif (239 バイト)まとめ
 
 とにかく消費税においては届出書一枚の提出、不提出によって、大きく納税額や還付額が変わってくるものです。設備投資などの予定がある場合は、消費税の還付についての検討もぜひ行っておきたいものです。そして、その設備投資予定期の前期のうちに、税理士さんにご相談ください。
 

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