免税事業者
消費税を納めなくて良い(免税)の事業者
消費者から預かっている5%の消費税。これを納めなくても良い事業者がいることをご存知でしょうか?「えっ?そんな馬鹿な!」と思う方もいるかと思いますが、これは事実です。
このように、消費税を納めなくても良い事業者を免税事業者といいます。消費者サイドから見れば、自分の支払った消費税がきちんと国に納付されず、事業者のフトコロに入ってしまうことについて不満があるかもしれませんが、政策的見地から制度的にそういうことになっています。
では、免税事業者になる事ができる条件とは、どういう条件でしょう?
「基準期間における課税売上高が3,000万円以下である事業者」 というように、規定されています。
ここで、基準期間とは、原則として前々期(個人事業者の場合は前々年)をいいます。
課税売上高の定義については、別の機会に載せたいと思いますので、ここでは単に売上高と考えて頂いても結構です。
免税事業者の判定はあくまでも基準期間の課税売上高を使用するのであり、その課税期間(法人では事業年度、個人事業者では暦年)の課税売上高は使用しません。すなわち、基準期間の課税売上高が3,000万円以上であれば、たとえ今課税期間の課税売上高が100万円しかなかったとしても、免税事業者とはなりません。
最初の2年間
基準期間とは前々期のことを言う・・・となると、こういうことになります。
開業した事業年度と、翌事業年度の2事業年度は、基準期間が無いことになります。
ということは・・・最初の2年間は免税事業者になることができる。ということです。
ただし、これには条件があって、資本金が1,000万円以上の法人については、適用されません。つまり初年度から消費税を納める義務が生じます。3期目からは、規定どおり3,000万円の判定を行うことになるのです。
免税事業者判定の具体例
と、文章で書いてもなかなかわかりにくいと思いますので、具体例をあげましょう。
【平成10年1月開業の事業者の免税事業者判定】
課税期間
課税売上高
免税事業者の判定(○:免税事業者 ×:課税事業者) 資本金1,000万円未満の
法人または個人事業者資本金1,000万円以上の
法人H10.1〜H10.12 2,000万円 ×(基準期間無し) ○ H11.1〜H11.12 3,500万円 ×(基準期間無し) ○ H12.1〜H12.12 5,000万円 ×(基準期間の課税売上高3,000万円以下) ×(基準期間の課税売上高3,000万円以下) H13.1〜H13.12 1,000万円 ○(基準期間の課税売上高3,000万円超) ○(基準期間の課税売上高3,000万円超) おわかりいただけたでしょうか?
開業2年度までは、資本金の額によって判定、開業3年度以降は基準期間(前々期)の課税売上高で判定するということです。
Q&A集
課税売上高とは、税抜きの売上高を言うのでしょうか?
基準期間が1年未満の場合は?
【Q1】
課税売上高とは、税抜きの売上高を言うのでしょうか?
【A1】
はい。そうです。
ただし、例外がありますので注意が必要です。
「免税事業者であった課税期間の売上高には消費税が含まれていないものとする」ということです。わかりにくいと思いますので具体例をあげます。
【平成10年1月開業の事業者の免税事業者判定(資本金1,000万円未満】
課税期間 課税売上高
(税込)課税売上高
(税抜)免税事業者の判定
(○:免税事業者 ×:課税事業者)H10.1〜H10.12 3,129万円 3,129万円 ○(基準期間無し) H11.1〜H11.12 3,200万円 3,200万円 ○(基準期間無し) H12.1〜H12.12 3,129万円 2,980万円 ×(基準期間3,000万円超) H13.1〜H13.12 1,050万円 1,000万円 ×(基準期間3,000万円超) H14.1〜H14.12 4,200万円 4,200万円 ○(基準期間3,000万円以下) ※つまり、免税事業者である課税期間は税込売上高=税抜売上高となります。
【Q2】
当社は、一昨年4月に設立した12月決算の法人ですので、今期の基準期間(前々期)は9か月しかないことになります。この場合、基準期間の課税売上高の計算上、注意すべき点はありますか?
【A2】
法人の場合、基準期間が1年未満となる可能性がありますが、その場合の基準期間の課税売上高は、その基準期間の月数で除し、12を乗じて計算します。
例) 基準期間:9か月 課税売上高:2,400万円(税抜)
2,400万円÷9×12=3,200万円(基準期間の課税売上高)