保険金を受け取った場合


ballgreen.gif (239 バイト)はじめに

 もしもの時のために。その「もしもの時」というのは色々と考えられますよね。たとえば自分が死んでしまった時。たとえば家が火事になってしまった時。たとえば重大な病気に罹ってしまった時。たとえばホールインワンを出してしまった時(笑)
 その「もしもの時」の備えとして、生命保険・損害保険などの保険に加入しておく、というのは、もう世間一般常識的な考えですよね。
 しかし、保険金を受け取った場合に、税金の関係がどうなるかということは、そんなに知られていない話だと思います。保険の契約形態によって納める税金の額が変わってしまったりする場合もあります。
 いざという時に、税金で頭を抱えることにならないように、ある程度基礎知識を身につけておきましょう。


ballorange.gif (239 バイト)非課税となるもの

 保険金のうち、以下のものは非課税となります。つまり、受け取ったとしても税金を払う必要が無いものです。

1.心身に加えられた損害または突発的な事故により資産に加えられた損害に起因して受ける損害保険金・障害保険金

2.疾病などにより生命保険契約に基づき受ける、高度障害保険金や入院給付金等(死亡保険金については、非課税となりません)

 上記の保険金などには、本人に対して支給されたもののほか、家族に対して支給されたものも含みます。
 つまり、
実費賠償的な給付については、非課税の扱いとされているわけです。


ballred.gif (1956 バイト)死亡保険金への課税

 上記のように、非課税となる保険金以外(たとえば死亡保険金)については非課税とはならないのですが、保険の契約形態(契約者:保険料の負担者が誰か。受取人が誰か)によって、保険金を受け取った時の課税関係が変わってきます。
 以下に区分して説明を掲げます。

 1.保険料の負担者が、死亡した人本人である

 2.保険料の負担者が、保険金の受取人と同一である

(計算例1)
  父の死亡により、長男が死亡保険金5,000万円を取得した。
  死亡時までの保険料の負担額は以下の通りである。
    母  :  500万円

  保険料の負担者と受取人が異なるため、贈与税の課税対象となります。
  贈与税の課税対象  5,000万円

  税額はいくらになるかといいますと
    贈与税:(5,000万円−60万円)×65%−590万円=2,621万円


(計算例2)
  父の死亡により、長男が死亡保険金5,000万円を取得した。
  死亡時までの保険料の負担額は以下の通りである。
    長男 :500万円

 保険料の負担者と受取人が同じであるため、一時所得として所得税の課税対象となります。
 この場合、既に払い込んだ保険料(500万円)は、必要経費として差し引かれることになります。
  所得税の課税対象  5,000万円−500万円=4,500万円

  税額はいくらになるかといいますと
    所得税:(4,500万円−50万円)÷2×40%−303万円=587万円


 上記計算例1、2で分かる通り、贈与税の税額はかなり高額になりますので、保険料負担者(契約者)と受取人が異なる場合は注意が必要です。

 しかし、保険料負担者と受取人が異なっていても、被保険者と保険料負担者が同一人物である場合には、上記1.の通り、相続税の課税対象となります。
 相続税には、多額の基礎控除額が認められているので、他の相続財産が少額である場合には、税金がかからないということも考えられます。
 生命保険に加入する場合、これらのことを考慮に入れておくと後々困ることはないかと思います。


ballorange.gif (239 バイト)満期保険金の取り扱い

 生命保険契約などの場合、たとえば20年後に満期保険金が支給されるという契約になっていることがあると思います。このとき、契約形態によっては、満期保険金に対して贈与税が課せられてしまう場合がありますので、注意が必要です。
 つまり、保険料負担者と、受取人が異なる場合です。満期保険金は贈与とみなされることになります。
 死亡保険金についてもそうですが、満期保険金についても、このように贈与の問題が発生することが考えられますので、ここでいま一度、保険契約書を見直してみた方が良いと思いますよ。

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